
最近、ふとしたときに思うのです。
「今のこの気づきと心の落ち着きが、あと10年早く訪れていたら…」
「もっと違う生き方ができていたんじゃないか」
「もっとうまく人と関われていたかもしれない」
そんな思いが胸に広がって、
これまでの時間がもったいなかったように思えてしまうことがあります。
私はこれまで、本当にいろんな経験をしてきました。
信じていた人に裏切られたことも、
何かを必死に頑張ったのに報われなかったことも、
人の言葉に傷ついて眠れなかった夜も。
振り返れば、あの頃の私は、
「なぜこんなことばかり起きるんだろう」と、いつも心の中で叫んでいました。
でも、時間がたって、少しずつ自分の感情を整理できるようになってくると、
あのときの自分の考え方、受け取り方に偏りがあったことも見えてきます。
「嫌なことが続く」と思っていたけれど、
もしかしたら、自分の選び方や向き合い方が、
その出来事をさらに苦しいものにしていたのかもしれない、と。
そして今、あの頃より少しだけ心が落ち着いてきて、
いろんな出来事の意味を考えられるようになった私が、思うのです。
「この心の状態で、もっと若かったら……」
「もっといい人生を選べたのではないか」と。
でも同時に、こうも思います。
この今の自分の状態は、遠回りだったからこそたどり着けたものじゃないかと。
泣いて、悩んで、ぶつかって、
人に期待しては裏切られ、自分を責めて、
それでも生きて、
その中でしか得られなかった何かが、たしかに今、心にあるのです。
私は以前、自分が何もできないことを、心の底から嫌っていました。
自信もなく、人と比べては落ち込むばかり。
でも、たとえ未熟だったとしても、
その頃の私も、精一杯生きていたのだと思います。
そう思えるようになったのは、きっと、今だから。
そう思うと、時間を巻き戻したい気持ちと同時に、
「これまでの時間も無駄じゃなかった」とも思えるようになってきました。
たしかに、「もっと早く知っていれば」と思うことはあります。
でも今の私は、その経験があったからこそできあがった私なのです。
人生は、いつからでも変えられる。
そう言うのは簡単ですが、実際には「もう遅い」と感じる気持ちもリアルにあります。
時間が足りない、という焦り。
若い人たちがどんどん前に進んでいくのを見て、自分だけ取り残されているような感覚。
でも、それでも、私は信じたいのです。
「もう遅い」ではなく、「今がちょうどいいタイミングだった」と。
人には、人それぞれのスピードがあります。
早く咲く花もあれば、ゆっくりじっくり咲く花もある。
遅れて芽を出すからこそ、深い根っこが育っていたということもある。
今の自分だからこそ、伝えられることがある。
今の自分だからこそ、そっと寄り添える人がいる。
やり直すことはできなくても、これまでの経験を誰かのために使うことはできる。
それは、これからの私の生き方に、きっとつながっていくのだと思います。
だから、過去を悔やむ時間も、未来への不安も、
すべてひっくるめて「今の私の宝物」に変えていきたい。
そしてこれからは、
「もう遅い」と思うのではなく、
「これからできること」に目を向けて生きていきたいのです。
あなたへ
もしあなたも「もう遅いかも」と思っているのなら、
どうか、自分を責めないでください。
気づいた“今”が、あなたにとってのスタートです。
あなたの歩んできた道は、決して無駄じゃなかった。
あなたが誰かに優しくなれた理由が、きっとそこにあるから。